Bloody Kiss♡


セトは優しい声で言った。

「産めよ。オレが言うのもなんだけどさ、芽生えた命を大切にしなきゃな。」

「分かんない‥。あたし、どうしたらいい‥?」


苦悩するあたしの背を押すように、セトは

「運命だよ、ロナ。もう300年余りも生きてるオレのさ。絶滅種として誕生したオレの、変えられない宿命だ。」

と、言った。


── 運命‥


そう、赤ちゃんはバンパイアバスターとしての運命を背負って産まれて来る。

それが変えられない宿命なんだとしたら‥


「産むね‥。あたし‥、産んで大切に育てる‥。」

「ああ、頼んだぜ。」


安心したように、セトは優しく微笑んだ。


 
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