Bloody Kiss♡
杖の先から、BabyPinkの光が放たれた。
その光は、あたしの左手首のロザリオに反射し、空間に人の形を象った。
そして
「うそ‥。」
息を飲むあたしの目の前に、セトが姿を現した。
まるで、狐に摘まれた気分。
「あんな交換条件、とっくに忘れてたぜ。」
照れ臭そうに笑う彼を、あたしは呆気にとられて見ていた。
「あれだな。そのロザリオ、人間界でもマダガスカルローズクォーツ以上の効果はあったみたいだな。」
冗談めかして言う彼。
女神は
「そうそう、セト。あなたは、たった今 人間として この世界に誕生しましたの。ですから、歳は23歳。名前はジェレミー・セト・ローズベリー伯爵ではなく、如月世斗。誕生日は今日。あら、赤ちゃんと五日違いね。セトとワイフが結婚していたと言うのは、事実婚ですわね。ですから、赤ちゃんの為にもきちんと入籍なさいませね。役所には、如月世斗の戸籍を用意しておきましたのよ。」
ホホホと上品な笑い声を上げ
「それでは、わたくしは天界に戻りましてよ。お幸せに。」
と、姿を消した。