Bloody Kiss♡
「ロナ‥。」
世斗があたしを見つめる。
あたしは、目を閉じた。
唇が触れ合う瞬間、窓の向こうから拡声器を通した声が大音量で聞こえてきた。
「市民の皆様、声援ありがとうございます。美園マリ、美園マリでございます。頻発する性犯罪を排除し、女性と子どもが住み良い街作りを目指して‥。」
─ まさか‥
「セト!あれって‥。」
「かもな。」
あたし達は、窓から外を見た。
路上には、選挙カーの前で演説するマリィ・リマと、白い手袋で手を振るミューの姿が見えた。