Bloody Kiss♡
刹那、セトが素肌に触れたことを思い出し
─ すきだろ?こういうこと‥ ─
あの時、囁かれた甘い声が耳を掠めた。
彼に見つめられ、その漆黒の瞳に不本意にも胸がキュンと軋むのを感じる。
だけど
─ アホちゃう‥?
あたし‥
瞬時に、その感情を否定した。
確かに見た目はタイプだけど、拉致された上に寝込みを襲われて心底腹が立っているのに、こんなヤツにときめくなんて有り得ない。
「どした?座れよ。」
「あ、はい。」
あたしは胸の内を悟られないよう頷いて、屈強な体格の男が引いてくれたロココ調の椅子に腰掛けた。