Bloody Kiss♡
テーブルには、食べ切れないほどの料理が華美な器に盛られて並んでいる。
「お召し上がりくださいませ。お嬢様。」
促す男に頷いて、あたしは両手を併せた。
「いただきます。」
考えてみれば、昨夜から何も食べていない。
それも、最後に食べ物を口にしたのはアツヤと別れ話になる数時間前だから、ほぼ丸一日 飲まず食わずの状態。
「おいし‥。」
フォアグラもキャビアも初体験。
高級食材が美しく盛り付けられた料理に、ついココロを奪われていた。
「やば‥、マジおいしい♪」
自分が置かれている状況も忘れて、あたしは食事を続けた。