Bloody Kiss♡
こんな姿、ホルスにだって見られたくない。
心底 会わないよう願っていたのに、ずっと待機していたのかホルスは廊下に立っていて、めちゃめちゃ色っぽいはずのあたしを見ても、表情一つ変えなかった。
「お嬢様、着替えがお済みでございましたら、お部屋で読書をなさいませ。セト様からのご命令でございます。」
「はい?読書?」
セトの命令は “メイドになれ”だったはず。
なのに、あたしは何ひとつメイドらしい仕事を宛がわれていない。
それどころか、良家のお嬢様のような扱いで
「なんで読書なん?」
消化されない疑問を幾つも引きずったまま、ホルスのあとをついて二階のベッドルームへと向かった。