Bloody Kiss♡
寝室に入ると、ベッドの上には分厚い書物が置いてあった。
本と呼ぶよりは、書物。
古めかしい表紙には、パワーストーンのブレスレットのような真っ赤なロザリオが嵌め込まれている。
「これを、あたしに読めって?」
ホルスは黙って頷いて
「お嬢様に足りないものは、知性と色気でございます。今のままでは完璧ではございませぬ。その本から会得なさいませ。」
と言った。
「知性はともかく、色気が無いとか言われたくないし!」
そう返したものの、アツヤにふられた理由を思い出す。
─ 女を抱いてる気がしない ─
彼は、そう言った。
サバサバし過ぎて男みたいだって‥。
同棲して、その部分ばかりが目立って来たって‥。
「読めば、女らしくなるっての?あほくさいな!大体、あたしは HOW TO本が嫌いやねんっ!」
ふて腐れるあたしに深々と頭を下げて、ホルスは部屋を出て行った。