Bloody Kiss♡
中世の欧州さながら装飾されつくした部屋の中、大きなテーブルで一人きりの朝食。
厚切りのベーコンを刺したフォークを口に運びながら、あたしは不満だった。
「ブラッディキスって、何よ‥。」
呟いたところで、壁際の甲冑は答えてくれない。
ハリーポッターのように肖像画がお喋りすることも‥。
ただ、ずっと平凡に生きてきたあたしの周りで、何か想像を超えたことが起ころうとしている。
まるでファンタジーの世界に迷い込んだように。
セトの不思議な力と、魔法の本。
彼を吸血鬼だと信じ出した今、そんな予感を感じていた。