Bloody Kiss♡
 

咄嗟に、ソファの端に移動した。

二人掛けのスペースじゃ、その行動は あまり意味を為さなかったけど。


自分のことしか見えていない彼は、構わずに喋り続けた。


「さっきさぁ、更衣室の前を通り掛かった時、聞こえちゃったんだよね~。ロナちゃん、彼氏にふられたみたいだね。いや~、ラッキーだと思ったね。ずっと可愛い子だと思ってたんだよ。もしかして、気になる人って俺?どう?俺の愛人になっちゃう?」


店長は足を組んで、両腕をソファの背に広げた。

その左手が微かに、あたしの背に触れた。


「無理です。てか、話ってそのことですか?」


こんなヤツに敬語で応えるなんて馬鹿らしい。

だけど、まだ理性は残っていた。


「知ってるかな?ロナちゃん。俺はね、このチェーン店の経営者の息子なんだよ。だから、君にはいい暮らしをさせてあげれるよ。それにさぁ、見返してやりたくないの?元カレ。俺なら、そこに協力出来るだけの財力はあるんだけどな~。勿論、愛車のフェラーリにも乗せてあげるよ。」


店長は反応を窺うように、あたしを見つめた。


 
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