青夏ダイヤモンド
1


照らしつける太陽は容赦無くて、うだるような暑さだった。

他よりも少し高くなった、この場所は一層太陽が突き刺さる。

ただ、目が覚めるような青々とした空だけが救い。

目に入りそうになった流れる汗を拭い、前を見据えて顎を引く。

息を飲むような雰囲気と安堵感が混ざり合う異様な時間。


これで、終わり。


二本の指が白球を押し出した瞬間、いつもと違う感覚を味わったのは、この時、自分たった1人だったに違いない。

何故かその瞬間だけは、周りの音が遮断され、時間がひどくゆっくりと流れていくようだった。

まるで、自分1人が切り取られた世界に取り残されたように思えた。



< 1 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop