青夏ダイヤモンド

「谷下さん、勘違いしてるって思ったから」

「勘違い？」

「ファミレスでの状況見て、充希が脩のことを好きだと思ってたみたいだから、ターゲットは私の方だと思う、って」

「それを、美穂に？」

「まずかった、かな？」

「すごい、大胆だな、と」

「大胆だった？」

「それって、脩を好きなのは私だ、って宣言したってことでしょ？」

あの時は夢中だったし、勘違いはほぼ確定だったから、あまり考えていなかったけど、確かにかなり恥ずかしいことをしてしまっていた。

あー、と声を出しながら顔を覆う。

「美穂に何もされてない？」

「されてない。谷下さんにとってライバルに値しないんだと思う。それはそれでいいけど」

「嫌がらせが無いにこしたことはないけど、美穂は完全に油断したね」

「油断かな？眼中に無いだけじゃない？」

「それが油断なんだよ。私が見る限り、脩は都が気になってるよ」

「う、そだぁ」

「嘘、って気付いてないのも不思議だけど、脩が都のこと気にしてるってわかる。私、都と一緒にいると脩と割と目が合うんだから」

「それは充希を見てるのでは？」

「違うって！私、そういう勘って良く当たるんだから」

訝しげな目で見ると、充希もどう説明すればいいのかもどかしいのか、唸るような声を出す。

それが本当だとしても、脩には何度か情緒不安定な私を見られているから、そのせいで気にしてくれているのかもしれない。

同情のような、そんな気持ちでいるんじゃないだろうか。