青夏ダイヤモンド
テスト期間も終わり、朝の時間は疎らな電車の中で元通り読書の時間に充てている。
しばらく読み進めていると、私の斜め前の席に誰かが座った。
ちら、と視線を上げると私と同じ制服で、その顔を見た瞬間、ぎょっとした。
相手も私の事を認識したらしく、眉根を寄せた。
谷下さんがこの時間に乗って来るなんて、初めてのことだ。
何か言われるのか、と思ったが谷下さんは、そのまま目を伏せて眠るようだった。
他に席も既に私達のように他人同士が斜めに向かい合う形で座っている状態だった。
これは、私の方が立て、ということなのだろうか?
いや、でも、そんな風に圧力をかけられた印象は無かった。
「そんなに物珍しい?」
視線を感じていたのか、谷下さんは私を睨みつけるように薄く目を開ける。
「この電車、かなり早いから、同じ学校の人が乗って来るの珍しくて。それに、いつも友達と一緒だから」
「ざまあみろ、って?」
言葉の意味がわからなかったが、思い直すと理解できた。
谷下さん、グループから外されたんだ。
一時的なものなんだろうけど、同じグループの子と会わないように、早い時間の電車に乗って来たのか。