青夏ダイヤモンド
集合時間前に到着した私と充希の前を行き交う人の波。
場所は指定されているものの、本当に脩達と合流できるのか不安になる程、人が集まっていた。
「ねぇ、似合ってるの?これ」
ここに来る前に充希の家に行って、充希の浴衣を着せてもらったが、集合時間が迫るにつれて見慣れない自分の浴衣姿に不安が湧いてくる。
「似合ってるよ。私が着るより、都の方がそれ、大人っぽくて似合ってる」
そう言ってくれるものの、充希は白地に淡い色合いの花が散りばめられた華やかな浴衣がよく似合っていて、女の私から見ても可愛かった。
ふわふわと柔らかく結った髪の毛も女の子らしくて、隣に立っていることがいたたまれなくなる。
「充希ちゃん、鷹野ー」
呼ぶ声の方向に顔を向けると、沖田くんが手を振っていた。
「いつもと違うから一瞬わかんなかったよ!やっぱ浴衣いいよねー。2人ともよく似合ってる!な?脩もそう思わん?」
既に若干不機嫌な顔をしているのは、気のせいではないはずだ。
やっぱり、いやいや連れて来られたに違いない。
脩がじっ、と私の事を見下ろすので何を言われるのか恐ろしくて硬直したまま俯いていた。