青夏ダイヤモンド
「それ、何柄?」
「は?」
何を言われているのかわからなくて、咄嗟に返してしまったが、浴衣の柄を言っているのかと納得して、改めて自分の浴衣を見下ろす。
「朝顔?とか、いろいろ・・・、わからないけど」
「あー、そうそう朝顔。思い出した」
私だけではなくて、沖田くんも充希もポカンとしていた。
それはそうだろう。
誰がこの状況で浴衣の柄を確認するだろうか。
ほら、私の思った通りだ、と訴えるように充希を見ると、まだこれから、とでも言うように首を振った。
2列になって人混みを抜けながら、花火会場にまで続く屋台を見て回った。
充希と沖田くんが前を行き、積極的に屋台を見て回り、私と脩がそれに流されるという構図だった。
かき氷が食べたいと言い出した充希に倣って、各々好きな味を買う。
「充希ちゃんのレモン?ちょっとちょーだい」
目の前でそんなことを始めたカップルのような2人。
充希とグルなんだろうか。
隣を見上げると、脩は黙々とかき氷を食べている。
「た、食べる?」
私のかき氷を差し出すと、脩はそれを一瞥した。
「それ、俺のと同じ味」
ほら、と見せられた脩のかき氷も私のかき氷も同じ赤いい色のシロップがかけられていた。