青夏ダイヤモンド


花火大会会場は更に人が多く、前に進むだけでも苦労したが、なんとか4人が座れそうな場所に落ち着くことができた。

「もう少し時間あるし、もうちょっと買い物行ってくるよ」

一旦場所取りができたので、沖田くんが立ち上がる。

「充希ちゃんも、行こ」

誘われた充希は即答し、立ち去り際に私に向かって頑張れ、とガッツポーズを作った。

マジか・・・。

2人にされたところでノープランだ。

それならそうと、先に言ってもらっていた方が良かった。

先に言ってもらっても、何もできなかったかもしれないが、少なくとも心の準備はしたはずだ。

隣を見やると、若干疲れた顔をした脩がぼーっと川辺を眺めていた。


「私、こんなに前で見るの初めてかも。この辺りってこんなに人いるんだね」

何の意味も無い話題を出して、何となく気まずい雰囲気を薄めてみようと試みる。

「花火大会自体、何年ぶりかわかんね。人酔いした」

「何か、飲み物とか買って来る?」

「いい。それより、帰って来れなくなるぞ」

「そうだよね。充希達、ここがわかるかな?」

まだ買い出しに行ったばかりだから帰って来るわけはないが、落ち着かなくて周りを意味も無く見回す。


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