青夏ダイヤモンド


「わり・・・」

「え?」

「はめた」

「は?」

「帰って来ないと思う」

「え、2人が、ってこと?」

「そう」

4人で花火を見るはずなのに、何故突然2人が帰って来なくなるのか、理由を考えていると脩の方から話し出した。

「沖田が、橋下のこと良いって言ってて、それで、花火大会で告りたいから途中で別行動にしてくれって頼まれてた」

「え、え!?沖田くん、充希のこと好きなの!?」

「らしい。橋下だけ誘っても来ないかもしれないからって、鷹野を巻き込んで、こうなった」

あー、なるほどねー。

やたら沖田くんと充希がペアになると思ったが、沖田くんの思惑が働いていたわけか。

霧が晴れたようにスッキリし、自分がこの状況で必要以上に頑張らなくても良いような気がしてきて、落ち着くことができた。

「沖田が失敗したら、橋下だけ帰って来る可能性もあるけど」

「いやー、意外と脈ありだったのかも」

「沖田のこと、何か言ってた?」

「浴衣着たい、って充希が言った時にちょっとよぎっただけなんだけどね。充希も自覚してるかわからないけど、浴衣って面倒なものを着るって、見せたい誰かがいるからでしょ。それって、沖田くんだったのかな、って、まぁこじつけかもしれないけど」

浴衣を着たい、と言った時に見た充希の顔は誰かを思い浮かべているように見えたのは確かだ。

充希の噂が流れた時にも必死に情報収集してくれていたし、沖田くんとなら上手くいってくれたら私も嬉しい。


< 112 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop