青夏ダイヤモンド
「は、恥ずかしい・・・」
ちらほら応援する声は聞こえていたけど、ただでさえ少ない観客だ。
私の声は響いたに違いない。
「都、普段は冷静だけど、本当は情熱的だよね」
「その解釈、どこからきたの?」
「球技大会のために一生懸命に練習したり、たった1人で美穂に向かって行ったり」
「そういうの、空回りって言うんじゃないのかな」
「空回ってるの?だとしたら、安心するなぁ」
どういう意味かわからず、首を傾げると、充希が口元を緩める。
「都は自分を持っててかっこいいから。誰にも媚びてなくて自立していて強いから。都のこと、尊敬する反面、羨ましいって思う」
充希からそういう風に見られているなんて思わなかった。
嬉しいけれど、本当の私は充希が思っているような私じゃないのに。
そうなったのは、いろいろなことから逃げた結果でしかない。
「私、1人でも大丈夫なように取り繕ってただけだと思う。1人でいることは自分の選択なんだ、って言い聞かせるために」
自分で打ち明けていて、随分と情けない話だと思った。
今思えばちっぽけすぎる自尊心だ。
「じゃあ、今は取り繕ってない、素の都ってことなのかな」
「え?」
「今は私、沖田くん、脩がいるから」
そういえば、学校にいる間の手持ち無沙汰な休憩時間が苦痛と思わなくなっていた。
自由時間、自由行動、という言葉に怯えなくなった。
「自惚れてるかなぁ?」
充希が照れ笑いを浮かべたので、私は慌てて否定する。
たった1年で、こんなにも私の周りは変わっていた。
それを気付かない程、今の状態が私にとって自然なことになっていたのだろうな。