青夏ダイヤモンド
翌日の登校中、クリスマスの予定を取り付けるための導入として、充希と沖田くんが旅行の計画を立てていることを話した。
「あー、沖田がアリバイ工作に俺を使わせて、って懇願してきたな」
「どこに行くんだろうね。旅行なんてしばらく行ってないかも」
「鷹野も行きたいの?」
「だって、楽しそうじゃない?」
「お前な、旅行行くって意味わかって言ってる?」
「思い出作り?」
「いや、悪い。今の忘れて」
しかめた顔を背け、この話は終わりだ、とでも言うように私の目の前に手を出した。
「まぁ、何だ。俺達は近場にしようぜ。イルミネーションとかそういうの」
「え!クリスマス、私と過ごしてくれるの?」
「そりゃな。今までそういうのできてなかったし。鷹野が行きたいとこ、連れてくから」
「イルミネーション、私も見たかった」
「なんとなく、そんな感じしてた」
ネガティブな方向に考えてしまう私の悪い癖が悪循環を生んでいただけだろうか。
脩はクリスマスに私と過ごすことを自然に考えてくれていた。
付き合うということは、日々の延長線上にあるのだろうか。
付き合い始めたからといって、突然何かが変わるわけではなくて、自然な流れでお互いを想いながら同じ時間を過ごすことなのだろうか。
おそらく、私の一喜一憂は脩のわずかな言葉が大きく影響する。
そして、今は今までの不安が無かったかのように、舞い上がる思いを脩に気付かれないようにひた隠しにするのが精一杯だった。