青夏ダイヤモンド


石畳の道が続く歩道の両端に金色に光る木々が奥まで連なっていた。

地面も同じように金色に照らされ、闇に包まれているはずの空も光を受けて濃紺色に見えた。

肩を寄せ合ったカップルが何組もその道をゆっくり歩き、並木道を背景に顔を寄せ合ってツーショット写真を撮影するために立ち止まったりしていた。

「綺麗だね。こんなの初めて見た」

とっくに陽が暮れているのに、眩しくてどこを見てもキラキラと輝いていた。

「ねぇ、写真撮ろう」

どうしても脩と共有しているこの瞬間を写真に収めておきたかった。

ツーショット写真の自撮りなんて初めてだ。

腕を目一杯伸ばし、かじかんだ手で携帯を構えるが背景と自分達を画面内に収めるのが意外と難しかった。

「脩、もうちょいしゃがんで」

「ん。それ、背景入ってなくね?」

「一回試し撮り」

撮影した写真はボタンを押した反動かブレてしまっていた。

「ちょっと貸して」

脩が携帯を持ち背景も綺麗に入るようにセットする。

「入ってない。もっと近づけって」

肩を引き寄せられ、脩の体と密着する形で撮影した写真は今度は背景も2人もしっかり入ってブレてもいなかった。

「鷹野、顔固っ」

「うわ、ほんとだ。もう一回撮ろう」

再度撮った写真はいくらか口元に笑みを浮かべることができて、やっとのことで写真に収めることができると、手を繋ぎ、その並木道をまた並んでる歩いた。



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