青夏ダイヤモンド
静かになっても、1ページも進んでいない本を私はまだ見つめていた。
修も何も言わずに、ただひたすら自分の本を読んでいる。
「あ、ありがとう」
「別に。だって、鷹野だろ」
「うん・・・」
「あいつ、うるせーけど悪い奴ではないから」
「そう、見える」
「馬鹿っぽい?」
「そんなこと、思ってないよ。ただ、修の友達だから、悪い人はいないかなって」
「・・・何それ、恥ず」
足の位置を少し変えて、口元に手を当てて眉間に皺を寄せた。
あ、少し照れている。
「つーか、呼び捨てかよ」
「あ、ごめん。修くんとかの方が良かった?」
「やめろ。ガキか」
「中川ってうちのクラスにいるから、やっぱり、修、だね」
「あ、そ。何でもいいや」
言葉遊びをするように気まぐれに話して、話すことがなくなっても静かな時が、ただ流れるだけの心地よい空間。
どうか、この時間がもっと続いてくれないだろうか、と願ってしまう。