青夏ダイヤモンド


「お、手振ってる子いるよ」

「翔馬くんだ」

遠慮がちに手を振り返すと、翔馬くんは満面の笑みを浮かべ、友達の輪に向かって駆け出した。

「誰?あの可愛い子」

「塾にいた生徒さん。野球部希望らしいよ。うちの部活が熱心らしいって聞いたって」

「へー。結構生徒さんとそういうの話したりするんだね」

「授業の前後とかでね。翔馬くんは人懐っこい感じだったから尚更かな」

未だに私のことを英雄のように記憶しているみたいだから、あまり近づきたくはない子なのだけれども。

「脩、嫉妬するよー」

「嫉妬?脩の柄じゃなくない?」

「そうかなー?脩って独占欲強い、っていうのは沖田くんの言葉だけど、まあ私も沖田くんが誰とでも分け隔てなく話せる性格にザワザワする時あるんだけどね。でもそういうもんでしょ、って思ってる。好きな人が異性と楽しく話してるの見るのは面白くないもん」

「充希も、そう思ったりするんだね」

「するする!それで喧嘩とかに発展しちゃったりね」

でもやっぱり脩が嫉妬するなんて想像できないな。

私は脩以外、考えたことないのに。


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