青夏ダイヤモンド
放課後の予定をお互い話していると、充希が自分の頬を両手で包んでキャー、と小さく悲鳴をあげた。
「それって、いよいよ次のステップってこと?」
「次のステップ?漫画見に行くんだけど」
「それだけなわけないじゃんっ。だって、脩の家って共働きでしょ?人がいない家に彼女誘うってそういうことでしょ?」
首を傾げていると、充希が耳元で囁いた言葉を聞いて、一気に熱が昇り、激しく首を振って否定した。
「違う違うっ。本当に漫画見るだけだってば」
「脩はその気になってるかもしれないじゃん」
「だって、そんな気配少しも無かったし」
「そんなの最初から見え見えで誘うわけないじゃん。都、怖気づきそうだし。そういう雰囲気になったらあわよくば、って思ってるって」
「うそーっ。無理だよ無理無理っ。そんな心の準備できないし、そういうのって早くない?」
「早くないよ。付き合ってるならいつかそうなるんだから。覚悟決める時間できて良かったじゃん」
「か、覚悟、って・・・」
「頑張って。怖くない怖くない。だって、幸せなことなんだから」
体育館に移動する、と言いながら担任が教室に入って来て、気怠げにクラスメイトが移動する。
斜め前を脩と沖田くんが話しながら歩いている後ろ姿をじっ、と見つめた。
本当に?
脩は、そういうつもりでいるの?