青夏ダイヤモンド


体を起こすと、ベットに腰掛けた脩が優しい顔で私を見つめていた。

「無理すんなよ。体、震えてんぞ」

「そ、そうだったかな・・・」

「今日なんか変だったのって、俺が下心あって家に呼んだと思ったから?」

「そういうわけじゃ、ないけど」

これじゃあ肯定しているも同然だ。

勝手にそんなこと思っていたと思われるなんて、恥ずかしい。

「無かったわけじゃないけど、そればっかりが目的じゃねぇからな。怖いなら怖いって言ってくれていいから」

「ごめん。まだ、心の準備できてなかった」

「わかった」

「で、でも、嫌だったんじゃないよ。脩に触れるのは、すごく幸せな気持ちになる、から」

「わかったから、それ以上は、ちょっと勘弁して」

両手で顔を隠して背中を丸めた脩に慌てて私は近づく。

「ごめん。ほんと、嫌とかじゃ」

「違う。結構、俺、耐えてるんだわ。幸せとか言われると、ほんとに止まらなくなる」

意味を理解して、熱くなった顔を背け、少し脩から離れた。

「そこまで警戒しなくても、手、出さないから。鷹野が吹っかけて来なければの話だけど」

私は黙って脩と並び、座っておくことにした。

いつか、自然に脩のことを受け入れられたらいい。

指に絡められた脩の手から伝わる熱も、痺れるほどのキスも、ひとつひとつ。



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