青夏ダイヤモンド
突然目の前の雑誌が誰かの手によって奪われた。
「話す必要ある?」
後ろから脩が雑誌を奪っていて、それを閉じると翔馬くんの胸に押し付けた。
「中途半端な時期だったから、ずっと気になってて・・・」
「悪気がなければ何してもいいわけじゃねぇから」
それだけ言うと、脩が私と翔馬くんを横切って、廊下を歩いて行った。
「何で、中川先輩怒って・・・」
「ごめん、翔馬くん。私、それ見たくないの」
「え!?そうなんですか!?」
「今の私は翔馬くんが思っているような人じゃないから、もし翔馬くんが今も昔の私を私の中に見ているなら、辛い」
「す、すみません。俺、気づかなくて」
「そんなのわかんないよね。翔馬くんが悪いわけじゃないから。ごめんね。脩と気まずくならないように、後で話ししておくね」
「それは、俺が直接中川先輩に謝ります」
肩を落とした翔馬くんの背中に何か言えないかと思ったけど、気の利いた言葉が一つも見つからなかった。
本当に翔馬くんのせいじゃないのに、翔馬くんを傷つけてしまったことに、嫌悪感が膨れ上がっていった。