青夏ダイヤモンド
「あれ?脩、もう部活行ったの?」
昼休みが終わるまで脩は帰って来なかったので、部活の前に翔馬くんのことを話そうと思ったのに、いつの間にか脩がいなくなっていた。
「ヤマセンに呼ばれたって言ってたけど?」
「呼び出されることしたの?」
「んー、やっぱあれかな」
「あれって?」
沖田くんは瞬きをいくつかして、首を傾げた。
「脩、東京の大学受ける、って・・・」
何それ。
そんなこと、何にも聞いてない。
「あれ・・・?俺、余計な事言った?」
「それ、いつ聞いたの?」
「俺が聞いたのは春休みだけど・・・。ほら、春休みは部活でほぼ毎日脩に会ってたし、鷹野に言うタイミング無かっただけじゃないかな」
沖田くんが必死にフォローをしてくれようとしているけれど、私の耳にはあまり入って来なかった。
進路のことをお互いにちゃんと話したことはなかったけど、脩も地元の大学を受けるんだと勝手に思っていた。
それは私の思い込みでしかなかったけれど、東京に行ってしまったら、私達はどうなるの?
そう言う不安は脩には無かったの?