青夏ダイヤモンド


翔馬くんと脩の件は沖田くんの情報によると、特におかしな様子はなく、いつも通りの部活風景だという。

「翔馬の人たらしの才能によるところは大いにあるけど、まあ、脩も根に持つタイプじゃないから大丈夫だって。むしろ、鷹野が蒸し返す方が面倒なことになりそうだから、何も言わなくていいって」

「面倒なことって、当事者なんですけど」

「だからだよ。脩がキレたのは、別の感情も含まれてたっつーか」

沖田くんはハッとしてから途端に口を噤んだ。

「余計な事言うな、って充希ちゃんに釘刺されたばかりだった」

振り向くと、充希が不思議そうな顔で立っていた。

沖田くんは充希が目に入ったから気づいて急ブレーキをかけたらしい。

気になるものの、こうなったらきっと話してくれないだろうな。

「都、今日先に帰ってて。面談の日だった」

全員担任とすることになっている進路面談。

私はいつだったろうか、と思いながらオッケー、と頷いた。



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