青夏ダイヤモンド


白い息を吐き出しながら、足早に駅へと向かう。

季節はすっかり冬を迎えていた。

マフラーにできるだけ顔を埋めて、ポケットに突っ込んだ手をぎゅっと握る。

テスト期間中に入り、授業も早く終わるので、どのクラスの生徒も家路につくか遊びに行く算段をしている。

私は頭の中で電車に乗ったらどの参考書を開いてどの単元を重点的にやるかイメージを膨らませていた。

普段は読書時間の車内は、テスト期間中になると勉強時間へ変える。

往復約2時間。

良い時間の使い方だ。

ホームに滑り込んで来た1両編成の電車。

同じ学生服を着た生徒が乗り込むくらいで、他は買い物帰りの主婦や年配者が乗っているくらいで車内は空いていた。

早歩きで駅まで来たのも、次の電車になると更に同じ学生服の生徒達が増えて混雑するからだ。

ギリギリ間に合うこの電車はちょうど良い。


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