青夏ダイヤモンド


向かい合わせの席は誰かと相席が必須になっていたから、車内の前後に用意された横列に座る席の端を確保する。

参考書を取り出すために鞄を探っていると、乗り込んで来た男子生徒が私のすぐ横に立つ。

「マジ?そんな分厚い参考書持ち歩いてんの?」

懐かしささえ感じてしまった声に顔を上げると、やはり修だった。

「え、何で、こんな時間に乗ってるの?」

「テスト期間だから部活もなし」

自分が部活に入っていないから部活事情に完全に疎くなっている。

「足、治ったんだね?」

「おー。元々大したことないっつうのに監督から許可出なかっただけだからな」

「良かったね。エースが復活して野球部も安心だろうね」

「気が早ぇな。まだ1番もらえてねぇよ」

まだ、というところに修の自信が見てとれた。

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