青夏ダイヤモンド
「悔いはない、って言いたいところだけど、やっぱ悔しいわ。でも、俺の全部は出し切ったし、他の奴もそうだと思う。最後の試合だったけど、楽しかった」
まだまだ野球をしていたかったのだろうけど、脩の顔は思ったよりも晴れやかだった。
「私の願かけ、足りなかったのかもね」
「いや、何回も助けられた。相手の実力からして接戦になるのは難しかったんだけど、いい試合ができたのは、やっぱり鷹野のおかげだから」
お守りを太陽に透かすように掲げた脩はサンキュ、と小さく笑った。
「頑張ったね、脩。本当にお疲れ様でした」
頭を下げて言うと、おー、と脩が答えた。
「じゃあ、頑張ったから・・・」
脩の手が私の首の後ろに伸び、顔が近づいて来たので、私も脩の首に手を回し、先に脩にキスをした。
「頑張ったご褒美、ってことだよね?」
唇を離すと、驚いた顔をした脩が視界に入っていたが、すぐに口元に笑みを浮かべた。
「足りてない。もう一回」
「・・・仕方がないなぁ」
そんなねだり顔を見せられたら、もう一回したくなるに決まってるじゃないかっ。