青夏ダイヤモンド
「けど、脩がやりたいことを応援したいってのも本音。だから、卒業までのひとつひとつの時間を大事にしたいって思う」
脩は息を吐いて手元に視線を向けた状態で、少し頼りなさげな声色で話す。
「自分で東京行くって決めたのに、鷹野のこと考えると揺らぐ時がある。本当にこれでいいのか、って。俺がやりたいことは鷹野と離れてまでやりたいことなのか、って」
顔を上げ、けど、と力を込めてその勢いに乗ったかのように一気に言葉を連ねる。
「鷹野を理由にするのって卑怯だと思った。もし、俺が挫折しそうになった時、鷹野を理由にする逃げ道ができるってのが嫌だったから、やっぱり俺は俺の決めた事で、やりたいことをやってみようって思う」
息を飲む雰囲気があって、脩の緊張気味な顔が私を捕らえ続ける。
その緊張を和らげるように、手を伸ばしてテーブルの上に置かれていた脩の手に自分の手を重ねる。