青夏ダイヤモンド


今日は学校の図書室で脩と勉強することになっている。

私は一度職員室に寄る必要があったので、脩には先に行っていてもらっていた。

放課後の図書室ではテスト期間が過ぎれば利用する人はかなり減る。

静かにドアを開閉し、脩の姿を探すと、奥の席にいるようだった。

脩はノートを開いた状態で机に突っ伏して寝息をたてていた。

静かに脩の横に座って脩の寝顔をそっ、と見つめた。

柔らかそうな前髪が目の辺りに流れていて、まつ毛が一本だけクルンとなっているのが、なんだか可愛かった。

こんなに近くで脩の顔を見られるのは、あとどれくらいなのだろう。

最近は何をやっても、あとどれくらい、と枕詞のように考えることが多くなった。

東京に行ったら、私の知らない脩がもっと増えてしまうんだろうな。

ひとみさん、だって私の知らない女の人だ。

けれど、脩の交友関係の中には当たり前のように存在する人なんだ。

こんなことばかり考えてる自分も嫌だ。

これじゃあ、脩のことを全然信じていないみたい。


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