青夏ダイヤモンド
「こっち向けよ」
「やだよ」
小さく笑う声がして、まだ笑ってるのかと思い、眉根を寄せる。
「鷹野が妬いたの、俺すげぇ嬉しいんだけど」
「う、嬉しいの?」
何を言っているのかと訝しげに見上げると、脩が口元に笑みを浮かべてこちらを向いていた。
「こっち見た」
反射的に顔を背けようとすると、頬に触れた
手によってそれを阻止された。
「俺は、鷹野しか見てない。鷹野も俺だけ見て」
心臓が大きく跳ね上がり、鼓動が早鐘を打つ。
見つめられると、指先まで硬直してしまっていた。
「見てるよ・・・」
なんで涙が出るのかわからなかった。
今の気持ちを全て言葉にできないことにもどかしさを感じた。
「もうずっと、脩しか見てない」
脩が好き。
好きよりも好き、ってどう言い表せば伝わるの。
「泣くなよ」
困ったように親指で優しく脩が涙を拭ってくれるけど、後からまた溢れてくる。