青夏ダイヤモンド
「今は別の子となんだよね」
「ふーん。女子って謎だよな。過去と現在で友達変わるじゃん」
「女子の世界はそんなもんだよ」
「面倒だな」
「面倒だよね」
とても窮屈だけど、そういうものだと割り切るしかない。
中学の時は割と頑張った方だけど、ある日突然訪れる疎外感や罪悪感を感じるのが怖くて、最初から孤立していることが楽なんじゃないかと思った。
そう思ったら、距離を置くなんて簡単だった。
誘いを断り続ければ、付き合い悪い子となって、寄ってこなくなる。
ちょっと面倒な子だと思わせれば、わざわざ話しかけたいとも思われない。
慣れてしまえば、嫌なことを合わせることなく、自分の為に自分の時間を自由に使えることがわかった。
「お前も女子だろ。他人事かよ」
「まぁ、他人事だよ」
「達観してんなー。浮かねぇの?そういうの」
「お察しの通りで、浮いてるよ」
充希が誰でもいいから避難場所を確保しておく気持ちもわかるし、それを憐れんだり貶したりしない。
ただ、突然離れて行かれると、それはそれで寂しかった。
その時は修と話ができていたから、まだ寂しさを紛らわしていたけど、修もいなくなってしまったから、更に寂しさは増した。
人と接触する温かさを思い出してしまうと、それが届かなくなった時にはひどい虚しさが体の中を支配する。
それを平気な状態にするには、また長い期間が必要になる。
自分が遠ざけていたとしても、人との関係は勝手にやってきて、容易に私の心に穴を開けていく。
だけど、今更孤立した自分を救ってあげられもしない。