青夏ダイヤモンド
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雪が溶け、蕾をつけていた桜が次々に咲き始めると、それを待っていたかのように冷えた空気が穏やかで暖かい春の風になった。
私はいつもと変わらない時間に電車に乗って、ガタゴトと激しい揺れを物ともせずに本を読み、たまに眠る。
新入生らしき女子達が何の部活に入るか、という話をしているのが聞こえる。
私は2年生になったけれど、それまでの学校生活にそう変化はなく、1人で1人の時間を自由に使っていた。
修とはやっぱり、元々登校も下校も私とはずれていて、どちらかが合わさない限り合うことはなかった。
どうやら、修は怪我した足だと歩くのに時間がかかるので、朝練に間に合う為に早い時間のこの電車に乗っていただけだった。
だから、今はもう一本遅い電車に乗ってきているのだろう。
一本遅くなれば、また私の心地よい時間は生まれたのかもしれないけれど、わざわざ時間をずらしたりはしなかった。
あれはこの時間のこの場所だから心地よかっただけで、時間も場所も変われば全く別物になるだろうと思った。
それに、私が修に合わせるようなことをするのは、自分の時間を自分の為に自由に使いたいという思いに反する気もする。