青夏ダイヤモンド
時間が早いせいか、教室内は人もまばらで、澄んだ空気が充満していた。
自分の席を見つけ、座るとまっすぐ前を向いた。
「あれ?いわ、じゃなくって・・・」
私の横を通り過ぎようとした男子生徒が振り返り、眉間に皺を寄せて何かを思い出そうとしながら近づいて来る。
何故私のところで立ち止まったのかわからなかったが、この軟派な風貌の彼が誰なのか突如思い出す。
修の友達だ。
けど、名前は思い出せない。
そもそも、彼の名前を聞いていないだけなのか、覚えていないだけなのかもわからない。
「思い出した!鷹野!鷹野でしょ!?」
「え、うん・・・」
「よかったー!当たった!」
ガッツポーズを作り、クイズの最終問題に正解したようなテンションで喜んだ。
何、この人。かなり迷惑。
「鷹野も特進クラスだったのかー。よろしく!」
「あなたも・・・。えーと」
「沖田侑哉です。まぁ、覚えてないのも仕方ないかー」
「ごめん。修の友達だよね?」
「そうそう。俺基本は自転車だけど、たまーにあの電車使ってて、それで修と鷹野が一緒にいたのは意外って感じ」