青夏ダイヤモンド
「私だけ、特進に来たの」
「どうして?」
「大学行きたくて。でもやっぱり、揉めちゃった。抜け駆けして勉強して、ギリギリになって特進に行くこと報告したから当たり前だけど」
軽く話しているつもりでも、充希の笑顔は引きつっていた。
3学期にクラスの中で充希が外されているところを見なかったから、本当にギリギリのタイミングで伝えたんだろう。
早くに伝えても外されることはわかっていたから、1年生が終わるまで待ったのかもしれない。
きっと、言うタイミングはいくらでもあっただろうけど、何が起こるのか予想できてしまっていたから、言い出せなかったんだろう。
抜け駆けする前に相談していたとしても、協力的だったとは限らない。
友達だもんね、親友だもんね、と確認し合う回数が多ければ多いほど、その関係は軽薄で簡単に壊れる。
「私、特進で頑張るって決めたから、都の力ばっかり借りずに、自力で頑張る」
新学期早々、慣れないことばかりで戸惑ってしまう。
だけど、嫌な気分ではなかった。