青夏ダイヤモンド


特進クラスでは普通クラスよりも受験科目に特化したプログラムが組まれていて、科目数が厳選されるので教科書を進めるスピードも速くなる。

早めに基礎固めをして、受験に対応できる内容へと変化していく。

特進クラスを選んで来た生徒達が集まるため、授業中に手紙を回したり、先生の目を盗んで話をしたり、寝ていたりする生徒は皆無。

ピン、と張り詰めた空気が集中力を高めてくれる。

「中川。前に出てこの問題解いて」

後ろから椅子を引く音がして、修の大きな背中が黒板に向かって行く。

もう足は引きずっていない。

本当に完治しているのだろう。

問題を前にした修は止まることなく数式を連ねた。

数字と文字を英語の筆記体のごとく流れるように書いていく。

意外と繊細な字だった。

「じゃあ、説明してみて」

どう思ってこの解を導き出したのか、過程の説明もしなくてはならない。

だが、修は堂々と理路整然に生徒達の前で説明をした。

野球ではエース候補とか言われて、勉強までできるなんて、文武両道をそのまま表したような修の姿を見て、嫉妬した。


< 33 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop