青夏ダイヤモンド


斜め前を睨み付けると、彼は笑いを堪え、小さく「ばぁか」と付け加えた。

「おう、脩っ。こっちにいたのかよ」

「空いてたから」

同じ学ランを着た男子生徒がもう1人現れて私の斜め前の彼に声を掛けた。

「でも、もういいや。お前座れば?」

「はぁ?何でだよー」

脩と呼ばれた彼は自分の隣に置いていたエナメルバッグを肩に掛けて、席を立った。

後から来た男子生徒もその後ろを追う。

彼もまた、同じエナメルバッグを肩に掛けていた。

成南高校野球部。

変な歩き方をしながら脩と呼ばれた彼は後ろの窓辺に体を預け、友人と楽しそうに話を始めた。

様子を見ていると、彼と目が合ってしまい、慌てて体を引っ込める。

私が追い出したみたいだ。

何も、当て付けのように席を去らなくてもいいじゃないか。


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