青夏ダイヤモンド
「やれよ」
後ろからの声にどきり、とする。
「野球は、鷹野。ピッチャーな」
「な、何でポジションまで勝手に・・・!」
思わず声を荒げて立ち上がると、教室内が静まり返った。
ただ、修だけが私のことをじっ、と見ている。
「俺がキャッチャーやる。俺がお前のボールを取る」
「なんっ・・・で、よりにも・・・」
「み、都?私、代わろっか?」
「鷹野。投げろよ」
充希がおずおずと出した助け舟に上乗せするように、修が強い声で言う。
握った拳から痛みがジワジワと感じられる。
暑くはないのに、背中を汗が流れていく。
悲しいのか悔しいのか腹が立つのか、わからない感情が混ざり合って頭の中を回っていく。