青夏ダイヤモンド
「すげぇ雨。鷹野、電車降りたら家まで帰れんの?」
駅に辿り着いた私達は待合室に逃げ込み、屋根や窓を激しく打ち付ける外の様子を呆然と見つめた。
「お母さんが仕事、終わる頃に車で迎えに来てもらう」
「そうしてもらえ。この様子じゃ、当分止まないだろうしな」
「脩は?どうやって帰るの?」
「もうどうせ濡れてるからな。自転車でそのまま帰る」
「・・・さっき、ごめん。さっさと乗せてもらえば良かった」
「それはその通りだ」
「うん。ごめん。ほんと」
水を存分に吸った衣服が重いせいもあってか、自分が徐々に地面に埋もれていくかのように気持ちが落ちて行った。
「何だよ。しおらしくなって」
「だって、脩があまりに優しいから」
「恥ずいこと普通のトーンで言うな」
「ほんとのこと言ってるだけだよ。それなのに、私はああ言えばこう言うだし」
「何なんだよお前はー。雨だからか?随分ネガティブかましてるな」
「元々、私はネガティブ人間なんだから」
脩が深く息を吐いた。
呆れられて当然だ。
ずぶ濡れになってまで送った相手がグチグチと呟き出すのだから。
どうしよう。
わかっているのに、空元気すら出せる気力が無い。