青夏ダイヤモンド
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休みの日に家の庭にある物置を漁っていた。
手前の物は出し入れが頻繁なのか割と綺麗な状態で保管されていたが、奥の棚に置かれた物の多くは埃を山のように被っていた。
探し求めている物が入っていそうな箱を開けては戻すことを繰り返し、やっと見つけたグローブとボールを引っ張り出した。
外側の箱が汚れていたにも関わらず、思いのほか中身は綺麗な状態で残されていた。
ただ、グローブは小学生の頃に使っていた物だからか、今の私には少し小さかった。
仕方なくグローブは箱にそのまま戻してボールだけ手に取って物置を出た。
「朝から何しとるんだ?」
物置を漁る音が家の中にまで響いたのか、祖父が玄関から顔を出した。
「今度、球技大会で野球に出ることになったんだけど、かなり体が鈍ってるから練習しようかなって」
「ほぉ、都が野球・・・」
「クラスメイトが仲良くなるための遊びだけどね」
「そうか、そうか」
祖父が嬉しそうに頷く。
「応援に行こうか」
「やめてよー。学校内だけの行事に誰も応援なんて来ないよ」
「そうか」
祖父は少し寂しそうにしたが、納得したように、また目尻にシワを作った。