青夏ダイヤモンド


球技大会の当日は朝から快晴で、夏になる前にも関わらず、季節外れの暑さになった。

円陣まで組んで団結力を見せる普通クラスの生徒に比べて、特進クラスの面々は小さなグループや個人がバラバラと散らばっていて、暑さにひたすら耐えるのみだ。

「うちの応援、少なくね?」

私達の第1試合は同じ2年生との対決で、体育会系も多いクラスだ。

見慣れない顔にばかり囲まれた応援場所を見回しながら沖田くんは口を尖らせた。

「この暑い時に、好き好んで外に出てこねぇだろ。それに今、ちょうどバスケもやってるしな。室内に逃げ込むだろ」

「あ、充希ちゃんは来てるね。おーい!」

沖田くんが両手で大きく手を振ると、充希も手を振り、ガッツポーズを作って、頑張って、とエールを送る。

「特進のピッチャー、女子らしいぜ」

「マジー?楽勝じゃん。第1試合が特進ってだけでラッキーなのにな」

聞こえるようにしているのか、相手チームの出場者がニヤニヤしながら私達の後ろを通って行った。

「鷹野の実力舐めんな!」

沖田くんが突然そう叫ぶので、私は慌てて止めに入る。

「変にハードル上げないでよ、沖田くんっ」

「ムカつくなぁ。鼻っから俺達が負けると思って」

「そういう歴史なんだから仕方ねぇだろ」

「あんなん言われて脩は黙ってられるのかよ」

「ああ、今は黙っててやるよ。試合が始まるまでな」

野球部としてのプライドがそうさせるのか、脩からも静かな、それでいて揺るぎようのなさそうな闘志が燃え始めている。

「鷹野。舐められんなよ」

何これ。

私、かなり重圧背負わされてるんじゃないの。



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