青夏ダイヤモンド
すっかり秋の気候になった外気は少し肌寒い。
グラウンドを横切ると、野球部とサッカー部が狭いグラウンドを半分に割ってそれぞれ練習をしている。
いつもは視線をすら向けないグラウンドを見る気になったのは、朝のことがあったからなのは間違いない。
歩きながらチラ、と見ただけだったが、電車に乗り合わせた彼の姿はすぐに見つかった。
練習着を着てノックの練習をしている生徒の横で、彼だけはベンチに座ってボールを上に投げて遊んでいた。
練習にも参加させてもらえないんだろうか。
いや、でも私と同じクラスメイトの1年生だって練習をしている。
それに、丸まった背中が何でか寂しそうに見える。
「なぁに?野球部?好きな人?」
充希が私の視線の先を追ってグラウンドを見た。
「そんなんじゃないよ。朝、ちょっと言い合いになった人がいたから」
「言い合い?誰?」
「ベンチに座ってる・・・」