青夏ダイヤモンド
「鷹野。ここ、わかんねーわ」
谷下さんの後ろで脩が参考書を示す。
脩がわからないところなんて・・・。
「お前ら邪魔すんなって。俺達、真面目だから勉強しないとなんねーの」
「脩のどこが真面目なのよー」
「最初から全てだよ。騒いで店員に目、つけられる前に帰れよな」
「何それー」
可愛らしく口を尖らせながら脩の肩を叩き、私達を横切る時に睨むことも忘れずに立ち去って行った。
脩は何事も無かったかのように、参考書に目を落とす。
やっぱり、今のは谷下さん達を帰らせるための口実。
席に座ると、充希と目が合った。
そして、手元の付箋に何か書くと私に見えるようにテーブルに置いた。
こういうとこ、ね?
小さく頷くと顔が熱くなった。