青夏ダイヤモンド
テスト期間の3日間が始まると、特進クラスではテストとテストの間の休憩時間ですら、静かで各々の机で自習に励んでいた。
そんな中、携帯が一度震えたので見てみると、沖田くんから、廊下に出てきて、とメッセージが入っていた。
同じクラスなのに変わった呼び出し方をするな、と思いつつ廊下に出ると沖田くんが手招きをしていた。
「変な噂聞いたんだけどさ」
必要以上に周りを一度確認してから、声を落とした。
「充希ちゃんがカンニングで特進に入った、って」
「何それ?誰が言ってるの?」
「いや、俺は普通クラスの友達から聞いたんだけど、そいつもどこからかの噂ってだけで、俺に確認しにきたみたいだった。なんか、カンニングのバレない方法教えてくれる、とかも言ってたな」
「そんな斡旋、充希がやってるわけないじゃん」
「そうなんだけど、結構広まってるらしくて、充希ちゃんの耳に入る前にどうにかできないかと思って、まずは鷹野に相談したんだよ」
「どうにか、って・・・」
チャイムが鳴ってしまい、ひとまずここで中断となってしまった。
教室に戻ると、既に余計な物を排除した机を前に全員揃っており、教師がテスト用紙を配ろうとしているところだった。
一番前に座る充希は姿勢良く、テストの開始時間を待っている。
まさか。
充希がそんなことするわけない。
テスト用紙が全員に配られ、開始の合図があると一斉にペンが走る音に支配された。
一旦充希のことは横に追いやり、目の前の数式に集中することに努めた。