青夏ダイヤモンド


何が本当なのかなんて、きっと関係ない。

本当っぽい人の欠点であれば何だっていいに違いない。

谷下さん達は悪意だらけだけど、その周りで噂を広める人達は、その場の話を盛り上げるネタが一瞬あればいいだけだ。

意外性があれば尚更、それが繰り返されて、あっという間に学校中に広まる。

「充希ちゃんって、脩が好きなの?」

「え?」

思いもよらない言葉が出てきて目を丸めてしまう。

「谷下がそんなこと言ってるらしい」

もしかして、谷下さんはファミレスで見た光景で充希が脩のことを好きだと勝手に関連づけたのではないだろうか。

一緒にいた私や沖田くんの存在をどう解釈したかは知らないが、谷下さんの中で恐れたのは充希の存在。

脩が充希となら付き合う可能性があると判断したのではないか。

1年生の時に一緒にいたのなら充希の長所も良く知っていることだろう。

「私、谷下さんに会って来る」

「え?直接行くの?」

「向こうの方がいろいろ上手だと思うから、直球以外逃げられるだけだと思う」

「俺も行くよ」

「ううん。こういうのは女同士の方がいい」

私1人の方が彼女達の本音や本性が出て来るはずだ。

中学時代の人間関係の経験がこんなところで役立つとは思わなかった。


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