青夏ダイヤモンド
空き教室に谷下さんを呼んだら、案の定ではあったけど友達2人も着いて来た。
「で、話って何」
谷下さんは腕を組んで顎を少し上げて威厳たっぷりに私を睨みつける。
「充希への嫌がらせを辞めてほしい」
「はぁ?私がやったって証拠あんの?」
こう言われることは予想はついた。
24時間で消える媒体をわざわざ使っているのだから、その辺りに抜かりはないだろう。
スクリーンショットを突きつけたところで、形勢逆転するとも思えないが。
「証拠は無い。でも、谷下さんは勘違いしてる」
「何をよ」
「ターゲットは充希じゃなくて、私だと思うよ」
「はぁ?」
「脩が好きなのは、私の方だから」
初めて、谷下さん達の表情が揺らいだ。
思ってもいない言葉だったのだろう。
「だから、充希への嫌がらせは辞めてほしい。充希はカンニングなんてしない」
目を丸めていた谷下さんが大きく吹き出すと、3人が揃ってケラケラと笑い始めた。
「あんたみたいな地味な女が脩と釣り合うと思ってんの?」
「思ってないよ。好きだと思う事は勝手でしょう?」
ひとしきり笑った谷下さんは息を吐いて呼吸を整えてから、再び腕を組んで口元に笑みを浮かべた。