青夏ダイヤモンド
授業が全て終わった後に、すぐに充希と家路につくのは久しぶりだった。
球技大会の時は別々に帰っていたし、テスト期間はどこかに寄って勉強してから帰ることが多かった。
「せっかく、都に勉強教えてもらったのに後ろから数えた方が早かったなんて、情けないな、私」
数学は特に自分の今までの中で最高得点だと、テスト用紙が返ってきた時には喜んでいたから、順位のことはショックなのだろう。
「周りと比べても仕方ないよ。前の自分より成績が良くなったなら、それでいいんじゃない」
「うん。でも、だからあんな噂たったんだと思う」
噂?と首を傾げてから、ハッ、とした。
「充希、知ってたの?」
「うん。普通クラスの男子に言われたの。バレないカンニングの方法って本当に教えてもらえるの?って」
悪気があったのか、本気だったのかわからないが、顔の見えないその男子に腹が立った。
「最初、何のことだろうって思ってたんだけど、また別の日に友達から、こんなの流れてるって教えてもらって、それで全部知った。都も知ってたんだよね?」
「うん、ごめん」
「ううん。都はきっと、私には言わないと思った。知らなければ傷つかないもんね。都はわざわざそんなことしないだろうから」