憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
ギリギリのところで、あたしは宣言した。
「…………」
憑霊はピタリと動きを止めた。
「勝った……二日目も、あたしの勝ちだ」
息を切らせながら、あたしはホッと胸をなで下ろした。
前回の心臓のときのように、あたしの持つ憑霊の腕はドロドロに溶け、消えてしまった。
そして、憑霊の欠損した腕の辺りを黒い煙のようなものが包み込む。
するとそこから、さっきまであたしの手の中にあった腕が現れた。前回同様、憑霊に見つけた体の一部が戻ったのだ。
……次のゲームは、憑霊に両手がある。今回は心臓が戻っただけでもかなり手強くなったのに、次はもっと厳しくなるかもしれない。
そんな不安があたしの頭を過る。
「でもこれで、今日は現実世界に帰れるんだ…」
そう口走ったときだった。
ザシュッ……!!!!