憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~
仲間
☆☆☆
「七海さん! 七海さん!! 七海さん!!!!」
英美の声が聞こえてくる。どうやら現実世界に戻って来たみたいだ。
「あっ…!!」
目を開けると、そこには泣きながらよだれを垂らす由梨の苦しげな顔があった。
「うぐ……あっ……」
……しかもあたしは由梨に馬乗りになり、由梨の首を絞めていたのだ。
「うわぁっ!!」
あたしは叫び声を上げ、由梨から離れた。由梨は「げほっ、げほっ…!!」と苦しそうに嘔吐する。
英美もすぐ近くで泣きながら腰を抜かしていた。
「一体、何が…」
わけがわからなかった。たしか現実世界のあたしは、椅子に縛られて身動きが取れなかったはずじゃ。
「痛っ!!」
手首を見ると、血の滲んだロープの跡がくっきりと刻まれていた。
部屋の中も異様だった。縛られていた椅子は倒され、近くに千切られた跡のあるロープがあった。前にあった撮影用の三脚も倒されている。そこに設置されたスマホは、まだ録画を続けている。
「七海、なのよね…?」
あたしに首を締められ、苦しそうに咳き込んでいた由梨がようやく口をきいた。
「どういうことなの? あたしが眠っている間に、何があったの…?」
「…………」
由梨と英美は気まずそうに目線を反らした。そして床にあるスマホに視線を移した。